中・高等学校におけるプログラミング学習の現在!「プログラミング」のいいところってどんなこと?(PEGキックオフレポートその1)

2014年2月8日(土)、東京大学にてPEGキックオフイベントを開催しました。「キックオフプレゼンテーション」にご登壇いただいたみなさまのご紹介とともに、トーク内容についてレポート!今回は中学校・高等学校の技術家庭科や情報の授業でプログラミング学習を実践する3名の方々のご紹介。

「パソコン室」から飛び出るプログラミング学習!中学校技術科におけるプログラミング学習実践と今後の展望
新村彰英先生(板橋区立上板橋第二中学校)
新村先生3

プログラミング学習が育む「3つの力」とは?

上板橋第二中学校新村先生の技術科の授業では、センサーボード「なのぼ~ど」を用いて制作をした手に追随するモーターカー「モカッシー」をはじめ、多様なセンターを用いたモーターカーを制作。制作に夢中になり、中には毎回授業前の昼休みからつくり始める女の子もいたそう!

そんな授業を行う新村先生の考える「プログラミング学習が育む3つの力」。その1つめは、「プログラミングは第三の言語」であるということ。「まず私たちの普段使う日本語、そして世界の人とコミュ二ケーションが取れる英語。それに加え、機械とのコミュ二ケーションのできる“プログラム言語”は第三の言語なのではないか」。また、2つめは「物事を進める順序を明確化する」こと。「融通の効かない機械を操作するためには、企画力や計画力も必要」。モカッシーにさせたい動きを考え、その動きを実現させるためにどうしたらいいか考えることは、まさに企画力と計画力が大切に。
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そして3つ目は、「最適解を求めること」。「普通、学校での学びは正解がひとつしかない。しかしプログラミングの世界ではあれもありこれもあり。」自分の目的を達成するための様々な手段を考え実行し、その中で最適解を求めていくという学び方は、プログラミングならではと言えるのではないでしょうか。

パソコン室を飛びでる!?来年度の展望は?

プログラミング学習におけるラズベリーパイのメリットのひとつは、パソコン室にしばられず、ラズベリーパイと必要機材さえあればどこでも・いつでも学習を行えるところ。新村先生も、現在様々な授業を計画中!「ラズベリーパイ」に傾きセンサーをつけて垂直まっすぐに使えるような「ノコギリ引き」を作ったり(材料と加工の分野との連携)、栽培する植物の横に置き、日照・気温等の「栽培データロガー」を作ったり(生物育成分野との連携)、「お掃除ロボット」を作ったり(エネルギー変換分野との連携)、既に様々な構想があるようです!今後もどのようなユニークな作品が生まれるのか楽しみです。

手に追随するモカッシー ひまわりモカッシー ダンシングモカッシー ドッキングモカッシー

学習院女子中・高等科 情報科授業の紹介
宅原愛子先生 山本泰嗣先生 野本悠太郎先生
(学習院女子中・高等科)
学習院

気づきと学びを促す授業づくり

山本先生・野本先生・宅原先生は、高等科の情報科の先生。高等学校における情報教育では、小・中学校での学びを受けて、より実践的・主体的に情報ツールを活用していくことが求められているとのこと。学習院高等科の授業では文系・理系ともにScratchやSqueak Etoysを活用中。学期のはじめに、まずはこれらのツールでできること・つくれるものの全体像を伝えます。基本学んだあとは、Scratchを使って円周率を求めてみたり、物体が壁にぶつかったときのシミュレーションを作成したり、他の学科で学んだことをプログラミングで表現してみるそうです。
学期後半の自由制作の授業では、まず個人個人が作りたいものを考え、企画を練る時間を大切に。それぞれのアイデアを形にするためのプログラミングの楽しさを伝えたいという思いから、先生方はそれらを実現するためのサポート役に徹しているとのこと。作品が出来上がったあともプレゼンテーションや相互評価の時間も取り入れながら生徒同士の教え合いやさらなる工夫・発展を促しているそうです。

さまざまなデジタルによる表現のかたち

そんな生徒自身の学びと創造を促す授業で作られた作品の一部をご紹介。正多角形を順番に増やしていったり、円周率をシミュレーションして求めたり。数学や理科で学んだことをプログラミングで実践した作品も多く見られます。また、自分の好きなものを紹介する映像づくりの課題の出た情報演習の授業ではスクラッチの紹介映像も。

学習院 作品 キャベツ
(正多角形を順番に増やしていく作品)

学習院 作品 円周率
(円周率を実験で求めた作品)

学習院 シュミレーション
(物体の放物線と跳ね返りをシュミレーション)

Programming Workshop of the kids,by the kids,for the kids!
山内奏人(Digital Creator/It is IT Co-Founder)
山内君2

中学生同士でスキルをシェアする学びの形

「It is IT」は、プログラミングの楽しさを伝えるために、中学1年生の有志で結成された団体。中学校の文化祭でプログラミングワークショップを開催したり、Maker Fairへ出展したり、2014年2月にはラズベリーパイを用いた授業を学年全員に行いました。

代表を務める山内さんは、11歳のときに「国際Rubyプログラミングコンテスト2012」で最優秀賞を受賞したり(そのときのニュース記事はこちら)、TED×Kids@Chiyoda2013でスピーカーをつとめる等、現在弱冠13歳にして様々な場面で活躍中!「大人から子どもに知識を与える教育ではなく、スキルをシェアする学びの形があるのだと気づきました。楽しんでいるうちに学べてしまうのです。」とこれまでの活動を通して山内さん自身が学んだことについて語ってくれました。

いろいろな世界に続くドアに

トークの後半、「教育関係者の皆様へのお願い」と書かれた山内さんのスライド。来場者のみなさんは一瞬どきりとしたのではないでしょうか。山内さんは、情報収集や金銭的な面での子どもが学校以外の様々なワークショップやイベントに参加するまでの「大きないくつかの壁」について説明。そして保護者の経済的・意識的な面でも子どもが受ける教育に格差がある現状を指摘。

経営、マスコミ、映画製作、語学等、学校の授業で学ぶこと以外でも、この広い世界につながるドアはたくさん。多くの小中学生にとっては、それらの情報を自由に収集し、自分の行動につなげていくことは様々な事情から難しい場合が多いのが現状です。「もし学校の中で様々な情報を得ることができたら、それだけでもぼくたちの世界は広がります。ぼくたちの団体も、いろいろな世界を開くドアになりたいと思っています。」このような可能性に満ちた学校・社会をつくりだすべく、私たち大人ひとりひとりが世界に続く「ドア」となっていければと思います。
その際の学校での授業の計画書はこちら